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テクノロジーと暮らし
2017-06-13

一瞬にしてすべてを失う恐怖
火災に強い家をつくるために大切なこと

大切な住まいが、財産が、そして時には命が一瞬にして失われる「火災」。ひとたび発生すれば、自分の住まいのみならず、周囲にも大きな影響を及ぼすことになる恐ろしい災害です。この恐怖を、建築の観点から防ぐ方法はないのでしょうか。「火災に強い家」を造るにはどうすればよいのか、そのポイントを探ってみました。

燃えにくい素材で家を建てる

万が一自宅で火災が発生してしまえば、ごく小規模なボヤでもない限り、そのままの状態で住むことは難しくなります。大規模な修繕や建て替えを強いられることになりますし、なによりそれが周辺の家にも被害を及ばした場合には、想像以上に大きなトラブルとなることは容易に想像がつきます。ですから火災は「起こさないこと」がもっとも大切なことなのですが、どんなに気をつけていたとしても起きてしまうのもまた、火災の恐ろしいところです。

そうなると考えるべきは、万が一火災が起こったとしても、その被害を最小限に食い止めることができる家を建てるということ。燃えにくい工夫を施した家であれば、火災発生時に逃げ道を確保できたり、避難する時間を稼げたりというメリットが生まれます。また、延焼の危険性を抑えることができるのも大きなポイントです。

燃えにくい家にするための基本は、燃えにくい素材で家を建てること。柱・床・壁という構造体を、耐火性のある素材で建築することが大切です。そうなると最初に思い浮かべるのは、鉄筋コンクリート造の家。鉄やコンクリートは木材よりも燃えにくく、それらで構成されていれば高い耐火性能が確保されていると考えられます。もちろん建築コストは高くなりますが、火災の恐怖から家族の安全を守るという観点から検討してもよい選択ではあります。

ただし、必ずしも鉄骨造の家が木造の家より火災に強いとは言い切れないとする説もあります。確かに直接火を近づけた場合、鉄が木よりも燃えにくのは明らかです。しかし火災の現場では、長時間高温の状態にさらされることもあります。そうすると鉄が溶け出し、強度が落ちてグニャリと曲がる危険性が出てくるのです。現代の家は高気密に造られていますので、火災が発生すると建物内部の温度が高くなる傾向があります。ですからその危険がまったくないとは言い切れないのです。
一方木材は、実は火にさらされたときに燃えるのはその表面であり、内部まで燃えるには時間がかかります。また木材の組織には隙間が多くあり、そこに空気をたくさん含んでいるために、鉄に比べて熱を中に伝えにくく、急激に強度が落ちることはないとも言われています。

ですから単純に「鉄骨だから火災に強い」「木造だから火災に弱い」とは言えず、柱・壁・床という構造体や構法なども総合的に考えて防火・耐火対策を施していくというのが正解でしょう。

自然素材を使うことの大きなメリット

火災の場合、火そのものだけでなく、それにより発生する煙も危険な要素になります。事実、大きな火傷を負っていなくても、煙を吸ったことで命を落とすというケースは非常に多く見られます。
現代の家は、断熱材などのウレタンやクロスなどの塩化ビニールなど、化学製品からできた建材を多く使っています。それらが燃えた場合には有毒ガスが発生し、一瞬で人の命を奪うこともあるのです。

その観点でいえば、極力自然素材を用いた家というのも「火災に強い家」と呼べるのかもしれません。天然木、石材、漆喰、珪藻土などを主に使用することで、万が一燃えたとしても有毒ガスの発生を最小限に抑えることができる家になるというわけです。
さらに漆喰や珪藻土は非常に耐火性が高く、直接火を当てて使用する七輪などにも使用されることからわかるように、とても燃えにくい素材です。日本古来の建築でも、城や蔵といった「簡単に燃えては困る建物」に使用されてきましたから、火災に対する安全性は高いことが伺えます。
自然素材の家は、デザイン性や快適性において優れた効果を発揮し、いまや注文建築の王道とも言えるチョイスとなっていますが、火災対策という意味合いにおいても非常に価値の高い選択といえるでしょう。

家を建てる際には、誰もが考えなければならない「火災対策」。その素材選びをプロと一緒に入念にできるという点でも、注文建築にはメリットがあります。見た目に美しい家という観点だけでなく、そこに「災害に強い家」というエッセンスも加えて、計画することが大切です。