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間取りを考える
2017-04-11

お互いの生活リズムを尊重する
共働きファミリーが暮らしやすい
住まいづくり

女性の社会進出が目覚しい昨今。いまや「男は外で働き、女は家を守る」という時代ではなくなりました。夫婦が同じ立ち位置で家庭を育む——。それには、生活の舞台となる住まいのあり方から考えると、より充実した生活が送れるようになります。「共働き」という観点で注文住宅を見直せば、家族みんなが快適に暮らすための方向性が見えてきます。

忙しくても逃れられない家事を効率的に

共働き世帯において重要なのが、利便性と快適性。ともに仕事を持つ夫婦が、それぞれ家事を分担し、なるべく多く家族団らんの時間を共有するために、いかに効率的で心地良い空間づくりを施すかということが重要になります。

まずは家事の効率化について考えてみましょう。お互いが忙しい時間を過ごす共働きの生活でも必須な家事を、可能な限り短時間で済ませるための工夫です。

まずは洗濯。共働きの生活では、朝の出勤前や帰宅後に洗濯機を回したり、洗濯物を干したりという作業が多くなります。となると、時間的に洗うにしても、干すにしても、寝ている家族や近所の視線や音が気になってしまうもの。そこで検討したいのが、専用のランドリールームです。

防音対策がされたスペースに洗濯機を置き、室内乾燥設備のもとで部屋干しができるような空間を設けてはいかがでしょうか。これならば、朝に洗濯機を回し、そのままランドリールームに部屋干し。帰宅後に乾いた洗濯物をたたむという作業が一箇所で効率的に行うことができます。日中は屋外に洗濯物を干しておくことができない共働きの家庭にとっては、天候の変化を気にすることなく干せるスペースだと思います。また花粉症に悩む家族がいる家庭では、洗濯物に花粉が付着しないという、期待もできます。
ランドリールームの場所としては、家事動線の短縮になるようキッチンの隣に設けたり、たたんだ洗濯物をそのまま収納できるようウォーク・イン・クロゼットと一体化させたりという配置も便利だと思います。

次に料理。忙しい共働き家庭では家事を一人で担当するのではなく、作業を分担して効率的に済ませることがある方もいると思います。料理においても、2人、3人の複数でも作業がしやすいゆとり感がポイントになります。
おすすめなのは、アイランド型などのオープンキッチン。独立式だと家族が参加しにくく、一人での作業になりがちです。アイランド型オープンキッチンであれば料理や後片付けをしている姿が周りから見えるので、ダイニングやリビングにいる家族と会話ができたり、キッチンが島のようになっているのでお手伝いがしやすいというメリットもあります。夫婦や親子でキッチンに立っても、スペース的に十分な余裕が確保されることもオープンキッチンの利点のひとつ。ともに料理をする間に一日の報告をしあったり、週末の予定を考えたりと、コミュニケーションをとる場としても有効なのではないでしょうか。

また毎日買い物をすることが難しい方にとっては、食材の保存スペースも設けておきたいもの。週末にまとめ買いをした食材や買い置きした調味料などを保存しておく「パントリー」も工夫の一つかもしれません。また冷蔵庫の大きさやドアの開き方・設置場所なども、あらかじめ考慮しておくと使い勝手の良いキッチンの間取りになると思います。設計の担当者に相談しながら、共働き家庭が快適に過ごせる家づくりを目指し、すすめていく事もポイントだと思います。

お互いの存在を感じながら過ごせる工夫

間取りで家事の効率化を図ることができたら、次は家族で共有する空間の快適性を考えてプランニングを進めましょう。共働きでは基本的に、出勤も帰宅も時間がそれぞれバラバラになってしまう事もあると思います。そうなると、お互いの一日の行動パターンにズレが生じることがあるかもしれません。その点を考慮すると、家族個々に分けるスペース、共有すべきスペースを両方とも計画する事もオススメします

例えば、洗面スペース。朝の出勤準備が2人同時にできるよう、洗面台は広く取り、洗面ボウルを2つセットしたほうがいいかもしれません。片方がまだ寝ている間に出かける、帰宅するということも考えて、身支度をするためのスペースは広めに。クロゼットもそれぞれが使えるように設けられればメリットはさらに大きくなります。

一方、夫婦や家族がなるべく一緒の時間を過ごすためには、それぞれが家でやるべき仕事や勉強も同じ空間で行えれば、一緒にいる時間も少しは増えると思います。「勉強部屋」「書斎」と分けるのではなく、リビング・ダイニングの一角に家族みんなで使える共用の作業スペースを設けるのもよいかもしれません。お父さん、お母さんが子供の勉強を見ながら、家事や自分の持ち帰った仕事を進めることができる環境をつくることで、親子の良好なコミュニケーションが生まれるかもしれません。1階・2階が吹き抜けの家ならば、2階の廊下やホールに共用デスクを設けるのも1つのアイデアです。自分の作業をこなしながらも、お互いの気配を感じることができるのは、家族全員の安心にもつながります。

「共働き」というライフスタイルが定着している今の世の中では、住まいで過ごすオフの時間をどれだけ充実させられるかが家づくりの決め手になります。そのためのノウハウは、つくり手である設計家や注文住宅を請け負う会社であれば豊富に持っているはず。自分たちの生活リズムをよく理解してもらい、「我が家」だけのライフスタイルに合った住まいをつくりあげてもらうようにしましょう。

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