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間取りを考える
2017-08-22

二つの家族が幸せに暮らす!
快適な二世帯住宅を実現する間取り

核家族化により、都市部では少数派だった二世帯同居。しかし高齢化が進み介護の問題がクローズアップされたことや、大きな災害が起こり家族の絆の大切さが見直されたことなどにより、二世帯住宅は今ふたたび注目を集めています。自分たちのライフスタイルに合った二世帯住宅のあり方について、考えてみましょう。

二世帯住宅の3つのタイプ

「留守のときや忙しいときに、子供の面倒を見てもらえる」「家事や家計の負担を分担できる」「親世帯の面倒を近くで見られる」といった家族の生活に関するメリットのほかにも、「土地購入にかかる費用を削減できる」「相続税対策になる」など、住宅建築時のコストや、要件を満たせば税制上でも多くの利点がある二世帯住宅。
一方で、ライフスタイルや年齢層が異なる2つの家庭が同じ屋根の下に暮らすことで、不都合やストレスが生じることも考えられます。これを防ぐために、間取りの工夫が不可欠になります。

2世帯住宅の間取りには、大きく分けて3つのタイプがあります。
1 完全同居型
別々なのは寝室だけで、他は玄関、リビング、浴室・洗面室、トイレなどの生活に使うスペースを共用するスタイルです。多くの場合、親世帯は1階、子世帯は2階と大まかな分離をし、1階に集めた共用スペースを必要なときに子世帯が降りてきて使用することになります。

2 部分共用型
玄関は共用し、廊下等に子世帯の居住スペースへ移動できる階段と親世帯の暮らす空間へのドアを設けるスタイルです。スペースやメンテナンスの都合上、浴室は共用する形も多く見られます。

3 完全分離型
同じマンションの隣同士で生活するような感覚で、敷地と構造のみを共有し、ほかはすべて別というスタイルです。もっとも生活する上でのストレスがかからない方法ですが、一番コストがかかるというデメリットもあります。

共用、独立の優先順位について意識統一すること

お互いの世帯がストレスなく暮らせる二世帯住宅をプランニングするには、「どこを共用し、どこを分けたいのか」の優先順位をしっかりと話し合って共有することが大切です。

そのときに、もっとも独立させたくなるのは、キッチンではないでしょうか。食生活は各家庭の習慣が大きく現れる部分。たまにはみんなで食卓をともにすることはあっても、親世帯と子世帯の生活スタイルが違うので、基本的には別の時間帯に、別のものを食べる前提でプランニングする方が良いかもしれません。
予算的、スペース的に厳しいようであれば、どちらかの世帯にミニキッチンをつくるだけでも利便性は大きく変わってきます。大切なのは「自分の好きなときに、好きなものが食べられる」という環境を確保することです。

同じような感覚でプランニングしたいのが浴室。自分がお風呂に入りたいときにバッティングしたり、歯を磨きたいときに誰かがいて使えなかったりなど、共用による弊害が出やすい場所です。この場合には、例えば洗面所は各世帯独立のものを設けたり、子世帯にはシャワースペースやセカンド洗面台を別途つくるなどの工夫が有効です。こうすることで、低予算・省スペースで共用による弊害を軽減することができるかもしれません。

収納も共用か個別かで迷う場所のひとつ。ここは基本的には個別でプラニングし、大きな物の収納には共用の土間収納や納戸を設けるといった臨機応変な対応にするのはいかがでしょうか。それぞれの所有物を明確にしたり、物を探しやすくなるという利点もあります。

共用・独立それぞれのスペースを充実させる

分けるべきところ、共用するところの意識統一をすることに加えて、二世帯住宅成功のポイントは、団欒の場とプライベートの場をそれぞれ充実させることです。

例えば、普段は別々のリビング・ダイニングで食事をしていても、週末や食後の自由時間を共有できるように、中庭(パティオ)やウッドデッキなどを設けるというのはいかがでしょう。子供たちが遊ぶ姿を見ながら、世帯間の会話も弾むことと思います。

また、共用スペースが多い二世帯住宅の場合には、それぞれが趣味に没頭できるような小部屋を設けることもオススメです。一人になりたいときに、気兼ねなく篭ることができる空間は、親世帯にとっても、子世帯にとっても同居のストレスを軽減してくれるはずです。

二世帯住宅は、それぞれの家族の事情や希望により、できあがる住まいの形は大きく異なります。いわば「正解」のない世界。自分たちの理想を聞いてくれ、それを巧みに設計に落とし込んでくれるプロを探すことが、快適な二世帯住宅を実現させる近道になるかもしれません。

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