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2016-12-13

地震に強い建物づくり 「耐震」「制震」「免震」は、 どれが強い?

東日本大震災以降、地震活動が活発化している日本列島。毎年のように大きな地震が発生しています。もちろん、東京も例外ではなく、注文住宅を建てるのであれば、地震から家族や財産を守るための「強さ」を意識した建物でなければなりません。住まいづくりを学ぶ上でよく目にする「耐震」「制震」「免震」の単語。地震と住まいづくり——この関係性を考えるとき、この3つの言葉の違いを知っておくことも大切です。

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建築基準法により義務付けられている「耐震」

まずは「耐震」について考えてみましょう。
建物における耐震とは、一般的に「骨組みなどを強化し、地震の揺れによる建物の崩壊を防ぐ」構造の事。建物に巨大な力が加わっても、構造自体でそれに耐え、倒壊しないようにする技術を指します。例えば筋交いをバランスよく組んだり、耐震金物で固定したり、耐震性のボードで壁を施工したりという工夫で、建物自体を地震の揺れに耐える構造にします。

耐震については、その基準が建築基準法で定められています。法律で定められているということは、イコール、日本で建築を行う際には、必ず耐震の基準を満たしたものでなければならないということ。建物を新築する際には、一定の耐震性能を必ず確保しなくてはならないのです。

建築基準法で定められる耐震基準は、大きな地震が発生するたびに見直され、強化されてきました。上に書いた基準は、1981年に改正されたいわゆる「新耐震基準」と呼ばれるもので、建物そのものの損傷よりも建物内の人間の安全性を確保することに主眼が置かれています。それ以前の「旧耐震基準」は「数百年に一度程度発生する地震」を想定したものではなかったのです。それほど日本での巨大地震が発生する現実性が高まっているといえるでしょう。

さらに国は、今後この新耐震基準を満たす建物の割合を100%に近づけるために、新耐震基準制定以前の建物の改修促進や耐震診断の義務化を推進しています。また長期優良住宅の普及を後押しして、建築基準法上の耐震レベルを上回る建物を増やすための対策を施しているのが現状です。

地震の揺れを軽減する「制震」「免震」

次に、建物のおける「制震」「免震」という構造について説明しましょう。

「制震」とは、一般的に「建物自体で地震のエネルギーを吸収し、安全性を高める」構造の事。躯体の強度を高めるという「耐震」に対し、制震では建物の一部に可動部分を設けて揺れを軽減。変形などをコントロールし、損傷を小さくする技術を活用します。具体的には、壁の内部など建物の要所にダンパーと呼ばれる振動軽減装置を取り付け、それにより地震エネルギーを吸収することで揺れを抑えるのです。わかりやすく言えば、建物に「粘り強さ」を付加して、地震の揺れを吸収するという事です。

一方「免震」は、一般的に「建物と地盤を物理的に切り離すことで、建物に地震の揺れを直接伝わりにくくする」構造の事。建物と地盤の間に積層ゴムなどの免震装置を挟むことで、その建物へ地面から伝わる地震のエネルギーを直接伝えにくくします。さらには建物の被害を防ぐだけでなく、室内に置いた家具・什器の転倒や破損などの二次災害も抑えられると言われています。

制震も免震も、耐震とは異なり、法律で義務化されたものではありません。いずれも耐震がなされた建物をさらに安全にするための工法です。
しかし耐震に関する建築基準法の規定は、大きな地震があるたびに何度も見直され、改正が図られてきました。「震災の教訓を活かした」と考えれば前向きに捉えることもできますが、「大きな被害が起こってからの対応になってしまっている」ともいえます。つまり想像をはるかに超える規模の地震に対して、耐震だけの画一的な考え方では不安が残ることも事実なのです。これからの住まいづくりには、耐震のみならず、制震や免震の技術も理解したうえで取り組むことが大切といえます。

土地や予算に合う構造を選ぼう!

それでは、「耐震」「制震」「免震」では、いったいどれが地震に強いのか考えてみましょう。

先に述べたように、現在の建築基準法では耐震は必須ですから、単純に3つを比較することはできません。比較するとすれば「耐震+制震」と「耐震+免震」となるでしょう。もちろんすべてを施すことも技術的には可能ですが、コストを考えると現実的ではないかもしれません。

同じ条件で耐震技術を施した建物が、同じ規模の地震に襲われた場合、免震構造は建物の揺れを大幅に軽減させるため、制振構造に比べ揺れの低減率は高いという事が一般的に言われています。

ただし免震にもデメリットはあります。
まずは導入のコストが高いこと。戸建て住宅に施すとすれば、一般的には数百万円単位の追加費用が必要になります。また建物の内外を分離させる必要があるため、設計がそれに合わせて制限されること、敷地や地盤によっては取り付けられないなどのデメリットもあります。
制震の場合でも追加費用は必要ですが、通常は数十万円程度と大幅に下がります。また免震のようにプランニングの制限は特にかからないことから、導入しやすい工法かもしれません。もちろん、ただ揺れの軽減については100%ではないので、室内の家具には転倒防止金具などを用いた対策を取ることが必要です。

このように、一長一短ある制震と免震。
信頼できる造り手のもと、しっかり耐震基準を満たした強い建物にすることは当然のこととして、それぞれのメリット、デメリットを比較したうえで、注文建築を計画する際のポイントにしてみてはいかがでしょうか。