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テクノロジーと暮らし
2017-01-31

セキュリティを重視した注文住宅とは侵入犯罪を防ぐ、住まいづくりの基本

デザイン、間取り、機能など、注文住宅では自由な発想を住空間に盛り込むことができるのが魅力です。しかし、どんなに凝った住まいにつくり上げたとしても、セキュリティ面での対策が疎かになっていては、本当に安らげる家にはなりません。平成27年の都内における侵入窃盗の認知件数は6,324件。せっかく完成した新居で被害に遭わないためにも、建てる段階から防犯への備えを忘れずに行いましょう。

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まずは侵入窃盗事件の現場を把握する

警視庁の調べによると、空き巣、忍び込み(夜間等の就寝時に侵入し、金品を盗むこと)、居空き(家人が在宅し、昼寝、食事等をしているすきに侵入し、金品を盗むこと)といった侵入窃盗事件のうち、一戸建て住宅での発生は全体の23.4%。マンションとなどを合わせた住宅での発生は54.8%となっています。侵入窃盗犯にとっては、オフィス、商店、学校、病院といった施設よりも、一般の住宅の方が犯罪を行いやすいという事実が浮かび上がってきます。

その侵入経路では窓からがもっとも多く、全体の60.1%。しかし次いで多い表出入り口からの侵入も、35.6%と非常に高い数字になっています。

空き巣の侵入手段を見てみると、一戸建てと中高層の集合住宅では違いが出てきます。集合住宅では鍵を掛け忘れた玄関や窓などから侵入するケースが多く全体の40.8%、それに対して一戸建てではガラスを割ったり、こじ破って侵入する手口が最多で67.0%に上ります。
これはマンションなど高さがある住居では窓からの侵入は難しく、対して一戸建てでは玄関が通りに面しているなどの理由から、窓からの侵入を試みるケースが多いためとみられます。

注文住宅なら、施工段階で防犯対策ができる

これらの傾向を踏まえて、注文住宅におけるセキュリティについて考えてみましょう。
まずは侵入経路でもっとも多い「窓」の対策。窓は無理やり破られるケースと、鍵をかけ忘れて侵入されてしまうケースが考えられますので、その両面での対策を施さなければなりません。

窓を割って侵入されることに対する対策で有効なのは、やはり簡単には破られない窓を取り付けること。外から錠の部分が見えないタイプ、2重ロック・3重ロックが施されているタイプ、2枚のガラスの間に特殊フィルムが挟まれているガラス、視覚的に侵入をためらわせるシャッターなどが効果的です。

鍵のかけ忘れに対する備えとしては、鍵をかけ忘れたとしても侵入できないようにするバリアを張ることが考えられます。とくに浴室やトイレなどは、換気のために窓を開けておくことも多いでしょう。そういった箇所には面格子を取り付けるのが有効です。
さらには窓に近づいた不審者に対して警告を発するセンサーライトや、遠隔でも窓の施錠状態を確認できるモニターシステムを配置することで、安全性を格段に高めることができます。

次に玄関や勝手口の対策。
まず大前提として、死角になりやすい位置に出入り口を設けないようにするなど、設計段階から防犯を意識した配置にすることが大切です。また、家の中から外の様子を見えやすくするために、玄関ホールに強化ガラスのスリットを設けたり、周囲からの視線を遮ってしまう位置に塀や囲いを設けないなどの工夫も有効です。

ドアは防犯性能の高いものを選びましょう。選択の基準となるのは、「CPマーク」が貼られているかどうか。CPとは防犯を意味するCrime Preventionの頭文字で、防犯性能が高いと認められた建物部品の商標です。これは窃盗犯が侵入を試みる際に5分以上を要した場合、その約7割が侵入をあきらめるというデータをもとに、さまざまな侵入攻撃に対して5分間以上防御することができるかという試験をクリアした製品だけに表示が許されています。この表示があるものならば、材質や鍵などにセキュリティ対策が施されていると考えてよいでしょう。

この他では、例えばあえて室内の様子を外から見えやすくするためにリビングの窓ガラスなど開口部を大きく取ったり、周囲に玉砂利を敷いた外構にしたり、二階などによじ登る足場を作らないよう凹凸の少ない外観にするなど、設計やデザインの部分での防犯対策も行えるのが注文住宅の利点でもあります。“カッコイイ”だけの住まいではなく、“安心”の要素も疎かにすることなく、こだわりたいものですね。

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