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2016-12-06

安心な家で永く住む! 長期優良住宅って、どんな家?

最近マスメディアや住宅関係の広告などで「長期優良住宅」という単語を目にすることが多くなってきました。その名の通り「長期にわたって安心して住むことができる優良な住宅なんだろうな〜」という想像はつきますが、具体的にどんな基準に基づき建てられていて、どういう点が“優良”なのか理解している人は少ないかもしれません。注文住宅を考えるうえでも知っておきたい「長期優良住宅」についてまとめてみました。

長期優良住宅って、どんな家?

環境と家計に優しい住まいづくりを目指して

まずは「長期優良住宅」とは何か、詳しく知るところから始めましょう。
長期優良住宅の規定は、平成20年12月公布・平成21年6月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に書かれています。この法律に書かれた認定基準に適合する住宅として申請し、認定を受けてはじめて、「長期優良住宅」というお墨付きがもらえるのです。

国道交通省HPには、住宅を長期間使用することにより、「環境負荷の低減を図りつつ、良質な住宅ストックを将来世代に継承することで、より豊かで優しい暮らしへの転換を図ること」を目的としています。
つまり環境問題の解決とリノベーションを含めた中古住宅市場を活性化させることで、「いいものを作って、きちんと手入れして、長く大切に使う」社会へ移行することが重要であると言われています。

これまで日本では老朽化した建物は壊し、一旦更地にしてから新しく建て直すという考え方が一般的でした。ところが欧米には、数十年、あるいは100年以上前に建てられた建物をリノベーションしながら大切に使い続けるという考え方が根付いています。

もちろん日本は地震国であり、歴史的に木造建築が多い実情もありますので、一概にこれまでの「スクラップ&ビルド」の発想が間違っているとは言い切れませんが、とはいえ「頑丈な住宅を造り、それを長く使う」という考え方は地球環境保持に大きく役立つ理念です。また長く安心して住むことができる家が増えるのは、消費者、居住者の側にとっても歓迎すべきことといえるでしょう。

長期優良住宅に認定されるためには

では、どんな基準で建築されれば「長期優良住宅」と認定されるのでしょうか。一戸建て住宅の場合、ポイントとなるのは、以下の7の観点です。

1. 耐震性
極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。例えば、建築基準法で想定されている1.25倍の地震が起こっても、倒壊しないこと。

2. 劣化対策
数世代(少なくとも100年程度)にわたり住宅の構造躯体が使用できること。木造住宅の場合は小屋裏、床下点検口の設置などを行い、躯体の状況が簡単に確認できること。

3. 維持管理・更新の容易性
構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。

3. 可変性
居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること。

4. 高齢者等対策
将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること。

5. 省エネルギー性
必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。

6. 居住環境
良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持・向上に配慮されていること。

7. 住戸面積
良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。戸建て住宅の場合は、2人世帯の一般的な居住面積水準である75㎡以上、マンションの場合は55㎡以上。住戸の少なくとも1の階の床面積が40㎡以上であること。

8. 維持保全計画
建築時から将来を見据えて、定期的な点検や補修に関する計画が策定されていること(少なくとも10年ごとの点検)。

注文建築の場合は最初に希望を伝える

以上のような各ポイントで、定められた基準を満たしているかの判断は、所定の手続きを経て認定を受ける必要があります。そのためには建物プランを建築会社と作成し、技術的な審査を登録住宅性能評価機関へ申請しなければなりません。
そのうえで審査に通ると、適合証を発行してもらい、所管行政庁へ申請し認定を受ける流れになります。

つまり長期優良住宅認定を目指すのであれば、手続きはプラン作成段階、着工前から意識して行わなければなりません。希望する場合は最初に工務店、ハウスメーカー、不動産会社へ相談しておくとよいでしょう。
最初の段階でその希望を伝えておかないと、新たに設計の打合せや設計作業が生じることにもなりかねないため、場合によってはプランや設計のやり直しということもありえるかもしれません。

長期優良住宅の普及については国が率先して呼びかけていることもあり、登録免許税、不動産取得税、固定資産税といった住宅取得の際にかかる税について軽減措置がとられています。また住宅金融支援機構では、フラット35Sやフラット50といった長期固定金利の住宅ローンの借り入れについても、行っています。
永く安心して暮らせる住まいを建てることで、地球にも、家計にも優しい環境作りに貢献することができる長期優良住宅。注文建築をお考えの方は、知っておいて損はない、新しい住宅の在り方です。

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