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テクノロジーと暮らし
2017-05-30

家自体がエネルギーを制御!
進化した住まいの中心HEMSとは?

最近、いたるところで「見える化」という言葉を耳にします。目には見えづらい、漠然とした状況を、図や数値でわかりやすく表すことをいいますが、家庭内で使われているエネルギーの状況を「見える化」するのがHEMSというシステムです。家庭における省エネのニーズが高まる今、各社からさまざまな機能を搭載したHEMSが投入されています。進化した住まいの中心となるHEMSの役割について、考えてみましょう。

家庭内の電力を見える化し、自動制御する

HEMSは、「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略。家庭で使われている電気エネルギーを見える化し、自動的に制御するためのシステムという意味です。

これまで家庭の電力といえば、大手電力会社から送られるものというイメージでしたが、最近では太陽光やガスを活用した発電の仕組みが家庭でも活用されています。また家庭内で使用する機器も昔とは比べものにならないほど、その種類が増えています。つまり家庭における発電の種類も、使われ方も多様化しているという現状なのです。

電気が使用される状況は、電力会社が計測している電気メーターの数字や、月々の請求金額でしか推し量る術はありませんでした。HEMSでは設置したモニターを通じて、現時点でどこからどれだけの電気が発電され、どのように使用されているのかが瞬時にわかるようになっています。また数日間の電気使用量を記録したり、翌日の数字を予測したりなどの機能も搭載。それにより住む人の省エネ意識を高めることにつなげています。まさにこれが電気の流れを「見える化」することの効果なのです。

また電気の使用状況や発電状況を見るだけではなく、その情報からHEMS自体が判断をして自動的に使用を制御することも可能です。もちろん使用する電気機器の制限などはありますが、HEMSを設置すれば、人間の目が行き届かない時間帯や範囲で、自分でエネルギーの節約をする家ができることになります。

電力の見える化と自動制御の両輪で、家庭の省エネに貢献するHEMS。国としては2030年までに一次エネルギー自給率約25%、家庭におけるCO2排出量約39.3%削減といった数値目標を掲げています。また住まいの年間一次エネルギー消費量が正味ゼロになる住まい・ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)の普及も推し進める中において、このHEMSの重要性がクローズアップされているのです。

進化するHEMSの活用方法

家庭内における電力の見える化と自動制御という両面で大きな効果を発揮するHEMS。しかしそれだけにとどまらず、機能や役割の進化は目覚ましいものがあります。

例えば、住まいと同様にエネルギーの電力化が進む自動車の中には、HEMSのある家とつなげることで、充電状況の確認はもちろん、セットした時間での自動充電なども行うことができるものも登場しています。また外出予定をあらかじめセットしておけば、最適な電気の使用や充電を自動的に設定してくれる自動車も出てきました。

また、医療や介護、子育てなどの分野にも応用範囲が広がっています。体に取り付けたセンサーつきのパッチから発信される信号を読み取り、自動で毎日の健康状態を記録したり、体調の異常を医療機関に知らせたりというシステムや、子供が帰宅する時間帯に合わせてエアコンの電源が自動的に入り、それと連動する形で保護者の携帯電話に安全確認のメールを送るシステム、高齢者が一定時間以上水道を使わない状況が続いた場合に、遠方の家族にその状況を知らせるシステムなど、すでに実用化されているものも含めて、企業の開発合戦が続いているのです。これから先もHEMSを設置した住まいと連動した機器や設備はますます進化して登場することでしょう。

またその導入に関しても、国が強力に推し進める政策と合致する仕組みなだけに、設置に関する補助・助成は各自治体を中心に数多く用意されています。メーカー側の開発努力による低価格化も進む事が予想され、一般家庭で気軽に導入できるようになる日が訪れるのも、そう遠くはないでしょう。

その賢い機能で、まさに「スマートハウス」の中心的役割を果たすHEMS。住む人と環境に優しい住まいづくりには欠かすことのできないシステムになっているといって過言ではないでしょう。デザイン面でも、機能面でもあなたのニーズを満たす注文住宅の計画に加えてみてはいかがでしょうか。

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