近年では、住まいのあり方としてオール電化住宅が注目されており、普及率で見ても約10%超。次の10年ほどの間に現在の2倍程度の世帯に普及するという見通しもあります。
さて、このオール電化住宅はなぜここまで普及しているのでしょうか。ここでは、オール電化にどんなメリットがあるのか?デメリットはないのか?について解説していきます。それぞれを正しく理解した上で、マイホームにオール電化を導入するか否かをよりじっくり検討してみてはいかがでしょうか。
オール電化にした場合のメリット
1.高い安全性
オール電化住宅では、調理にIHクッキングヒーターが使われることをご存じの方は多いでしょう。このIHクッキングヒーターには中にコイルが入っており、こちらに電流を流すことで生まれる渦状の電流によって、上に置かれた鍋に熱が発生します。
IHクッキングヒーター自体が直接発熱するわけではないため、やけどもしにくく、「火・炎」が発生しないので火災につながりにくいという特徴があります。これは、安全性の面から考えて高ポイントです。(ただ、置いている鍋の熱がIHクッキングヒーターに伝わるため熱くはなります)
そのため、やけどもしにくく、「火・炎」が発生しないので火災につながりにくいという特徴があります。
調理温度のコントロールは手動で簡単に行なえ、万が一に備え、センサーによる自動管理もできるため、揚げ物のような高温調理でも安心です。
小さいお子さんやお年寄りの方でも比較的安全に使えることは大きなメリットとして挙げられるでしょう。
2.災害時の利便性
近年、大地震が日本各地で続き、災害に対する不安を抱いている方もいらっしゃることでしょう。大災害が見舞われた際、多くのライフラインとなるインフラがストップしてしまうことが考えられます。
生活に切っても切れないインフラとしては電気、ガス、水道が挙げられると思いますが、実はこの中で電気が最も復旧が早いとされています。
オール電化住宅は、ガスの代わりに電気によって発熱し、また、基本的には貯水タンクが備え付けてあるので、災害後であっても比較的早い段階で調理や入浴が行えます。
災害はいつ起こるか分からないものですから、できる限り前もって備えていきたいものです。有事の際にも安心できる環境を、オール電化で作ることができます。
3.空気の清潔さ
熱源として「火」を使わないため、室内に二酸化炭素が発生しにくく、空気をクリーンな状態に保ちやすいこともオール電化住宅の一つの特徴です。
特に最近では、冷暖房効果を高めるため、気密性を高くしている住宅が増えています。逆を言えば「空気の入れ替えが行われにくい」とも言えるため、オール電化は非常に相性が良いわけです。
4.その他のメリット
その他にも、「IHクッキングヒーターは(ガスコンロと比べると)お手入れがしやすい」、「光熱費の支払いを一元化できる」、「環境にやさしい・エコ」といったメリットが挙げられます。
オール電化にした場合のデメリット
1.光熱費が高くなる?
ガスを電気に置き換えるので、電気料金がオール電化以前より上がってしまう可能性は高いです。
契約形態や使用方法(使用時間帯など)によって大きく料金は変わってくるため、光熱費全体で見た場合に「安くなるか?高くなるか?」ということは一概に言えません。
そのため、料金を安くすることを目的としてオール電化住宅にする場合、結果的に「損をした」と感じてしまうかもしれないため、あまりおすすめできません。
2.停電時は何もできない
オール電化という名前の通り、すべてが電力によって動いているため、停電してしまうとほぼ何もできない状態に陥ってしまいます。冷暖房、調理器具、湯沸かし、照明が使えなくなるので、これらのことを念頭に置いて、備えておかなければいけません。
ただし、蓄電池を用意しておけば数時間の間、普段通りの生活が送れます。よほどのことがない限り、停電が数日間も続くというケースは考えにくいので、この蓄電池で事足りると思われます。
3.「やっぱりガスがいい」は困難
上記の通り、オール電化住宅にもデメリットはありますし、生活してみて「ガスと併用していた方が便利だった」と感じる方も中にはいらっしゃいます。
ただ、一度オール電化住宅にしてしまうと、ガスも使えるようにリフォームしたり、器具を揃えたりするにはそれなりに費用がかかってしまいます。
まとめ
どれがベストな選択ということはありませんが、オール電化工事をするには一定の費用がかかります。一部分ずつ切り替えを進めるより、最初からオール電化住宅を検討する方が効率的で、コストがかからないやり方と言えるでしょう。
新しい住まいを設ける時こそ、オール電化を検討するチャンスと言えます。ガスを使わない生活が自分にあっているかどうか、ご自身のライフスタイルを踏まえながら、ゆっくり考えてみてはいかがでしょうか。